ぼくの かんがえた さいきょうの ラズパイ クラスタ(物理(要資格 〜その2 資格取得編

その1 からの続きです。

電気工事士資格

妄想に任せて設計図面(と呼べるようなちゃんとしたものではないですが)を描いたりしていたとき、ふと 「スイッチング電源って、交流 100V の電源を入力するけど、コンセントにプラグを差し込んだりするだけの気軽な感じじゃなくて、電線をネジ止めしたりしないといけなさそうな気がするな?それってなんか資格持ってないとやっちゃいけないんじゃなかったっけ?」 という考えが頭をよぎりました。

少し調べると、どうやら「電気工事士」という資格が必要そうです。

電気工事士法やその施行規則を確認しますと、電気工事士の資格を持っていないとやってはいけない作業が定められています。 その中でも、電気工事士法施行規則に書かれている作業のうち、以下のような作業は実施しそうな感じがします・・・

イ 電線相互を接続する作業

:

ハ 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業

:

ホ 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業

造営材というのは、平たく言うと家の壁や柱などのことです。配線器具とは、コンセントやスイッチのようなものです。

DIN レールを壁などどこかに固定し、その DIN レールにスイッチング電源や端子台、ラズパイなどを取り付けてそれらを電線で接続する作業は「ホ」に該当しそうな感じがします。

電線も宙ぶらりんは良くなさそうですので「ハ」の作業を実施するかもしれません。

電線同士を圧着したりして接続するような「イ」の作業はしなさそうな気もしますが、自分自身の安全のためにも、今後もっと高度な作業をしたくなった場合のことを考えても資格を持っておいて損はないだろうということで第二種電気工事士の資格を取ることにしました。自宅の外構部などに電灯やスイッチ類を増設したりしたいとも考えていたところでしたので、それももしかしたら自分でできるようになるかもしれません。

調べたところ、電気工事士の試験は年2回行われているようです。

電気工事士には「第一種」と「第二種」がありますが、自宅で 100V 程度の電圧を扱うのでよければ「第二種」で十分なようです。

試験は筆記試験と技能試験の2段階になっているようで、筆記試験の合格者が技能試験を受けることができます。

試験を実施している一般財団法人電気技術者試験センターのサイトで過去問が公開されているので見てみました。

電気工学、電磁気学などについては学生時代に学んでいましたので、電気の理論については過去問で練習すれば大体できそうな感じがしたのですが、それ以外の工事に関する知識がほとんどなく、これは難しそうだなと思いつつも、筆記試験は 60 点以上取れば(50問中30問正答すれば)合格するようでしたし、技能試験は事前に公表された 13 問のうちのいずれか 1 問が出題されるということで、事前にしっかり練習すれば大丈夫だろうと考えましたので頑張ってみることにしました。

インターネットで早速受験の申込みをしました。受験の申込時に支払った費用は 1 万円弱でしたが、教材(特に技能試験で使う工具や練習用の材料)や手袋などの作業用の道具、過去問の問題集、受験時の交通費、合格後にかかる費用なども合わせると合計で 4〜5 万円くらいはかかると思っておいたほうが良さそうです。

日本エネルギー管理センター事務局さんが公開されている YouTube のプレイリストで勉強させていただきました。 すごくわかりやすくて良かったです。

YouTube で動画を見て、過去問をやってという感じで 1 ヶ月半くらい勉強しました。

筆記試験

いよいよ試験当日です。

受験票のハガキに記載されている会場まで、公共交通機関を利用して移動しました。 私はとある私立大学が会場として指定されましたが、大学の最寄りの駅から臨時のバスが出ていて、大勢の受験者を運んでいました。

大学に着くと、受験番号に応じてどの教室に行けばよいかという情報が記載された紙が、大学の入口付近で配られました。

開場時刻の少し前に教室の前に到着したので、廊下でしばらく待ちました。

教室が開けられ、自分の席に名前と受験番号が書かれたシールが貼られているのを確認して着席しました。

筆記用具などを机の上に出しておき、試験開始時刻を待ちました。

試験監督の方から説明などがあり、ようやく試験開始。

試験は全部で 2 時間弱の時間が取られていたと思いますが、試験開始から半分くらいの時間が経過すると途中退出が可能になったと記憶しています。

私は途中退出が可能になった時刻にはすべての問題を解き終えていましたが、念のためもう一度すべての問題を見直して、1 問だけ回答を変えてから提出して退出しました。

行きのバスが混みすぎていたので帰りは駅まで歩こうと心に決めていました。30 分ほど歩いて駅まで戻りました。

試験の翌日には解答が公表されましたので自己採点してみたところ 50 問中 48 問正解でした。間違えた 2 問のうちの 1 問はうっかりミスで、問題文をよく読み直したら正解できていました。もう 1 問は最後に見直して回答を変えてしまったところでした。回答を変える前は合っていたのに変えてしまったことで間違ってしまったので惜しいことをしたなぁと思いましたが、いずれにせよボーダーラインは大きく超えているようでしたので安心しました。

この日から、次の技能試験の対策を開始しました。

技能試験の練習

技能試験も日本エネルギー管理センター様の公開されている YouTube のプレイリストを 1 から順番に見ていきながら、実際に自分でも回路を作ってみるという作業を繰り返して練習しました。

練習用の部材は以下のようなセットを買うと一式揃いますので、私のような右も左もわからなかったような初心者にはちょうど良かったです。ただ、たとえばランプレセプタクルは公表問題13問中12問で使われていますがこのセットには 1 つしか入っていません。ですので各問題を練習し終わる度にランプレセプタクルなどの部材を取り外して次の問題の練習に再利用するというようなやり方になります。ただ、ランプレセプタクルが 12 個もあっても置き場所に困るでしょうし、それでよいとは思います。差し込み型コネクタも最低限の数しか入っていないので、基本的には再利用しながら練習していく感じになると思います。

工具もホーザン様の出されているセットを購入しました。日本エネルギー管理センター様の動画の中で使われているのと同じ工具のセットですし、実際に資格取得後にも普通に使えそうなので、私のような初心者にはちょうど良いと思います。

動画を見たあとに実際に自分で回路を作ってみると、思ったよりも時間がかかることがわかります。 実際の試験では 40 分間で回路を完成させなければなりませんが、かなりテキパキやったつもりでも 35 分以上かかっていたりします。 もし本番でどこか少しでも間違えたりすると、やり直す時間はほとんどないのではないかと心配になります。 特に電線の圧着や差し込み型コネクタへの差し込みを間違えるとやり直しはかなり難しそうです。 また、複線図を書いている時間も無さそうなので 3 路 / 4 路スイッチのある回路などはスラスラと接続できるかどうか心配になります。 ただ、13 問もある公表問題を 1 つずつ練習していくにつれてだんだんとコツを掴むことができましたので、10 問くらいを練習した時点では時間に余裕もできるようになってきました。自分がミスしやすいポイントなどにも気付けるので、最低でも各問一回ずつは練習したほうがよいでしょう。

あと、素手で作業していると VVF のシースを剥いたりする作業で思いのほか指にダメージがあります。 私はホームセンターで軽作業用の手袋を購入して使用しました。

ついでにホームセンターでいままであまり寄り付いたことのなかった電気工事関連のコーナーを見てみたところ、VVF ケーブルや圧着コネクタ、差し込み型コネクタなど必要そうなものがすべて売られていましたので、もし公表問題の練習が 1 回ずつだけだと不安で 2 回めの練習をしたくなったとしてもここで部材を買い揃えることができそうだということがわかりました。

筆記試験からおよそ 1 ヶ月経ったころ、技能試験の受験票が届きました。筆記試験に合格した旨はそのハガキの中に小さく書かれていて、こんなものかと思いました。

技能試験当日

筆記試験とは別の会場でしたが、こちらもやはり私立大学の教室が会場でした。 今回の会場は最寄りの駅から徒歩で行くことができる近さでした。

教室に入るまでは筆記試験のときと大体同じでしたが、説明開始時刻になってからの雰囲気が筆記試験とはだいぶ違いました。 最初に問題用紙が配られましたが、その時点では表紙しか見てはいけないというのは筆記試験と同じです。表紙には材料の一覧が書かれています。 続いて、ダンボール箱に入った材料が配られます。配られても、指示があるまで箱を開けてはいけません。 全員に行き渡っているかどうか、何度も確認が行われました。

試験開始まであと 10 分くらいといったところでようやく箱を開ける許可が出て、材料が揃っているかどうかの確認を行ないました。 電線の長さを測るのに工具が使えません(メジャーなどは使えます)。練習のときはストリッパーに付いている目盛りを使って長さを図っていましたがそれは使えないので、ホーザンの工具セットに入っていた布尺を初めて使いました(笑)

材料の確認を終えてしばらく待っていると時間になり、そのまま試験が始まりました。

私は今回は公表問題の 6 番、露出型コンセントと 3 路スイッチのある回路でした。

露出型コンセントの出来に少し不安はありましたが、一応欠陥ではないはずです。そしてそれ以外は特に問題なく完成させられました。 しかし、これまで YouTube を見て独学で練習してきただけで第三者に判定してもらったことは無かったので自分としては問題ないと思っていても試験官には欠陥と判定されてしまうのではないかという不安は試験終了後もずっとつきまといました。

技能試験結果発表

年が明けて 1 月の末、いよいよ結果が発表される日がやってきました。 当日は午前 9 時 30 分ころから試験センターのホームページ上で番号が検索できるようになるということで、事前に受験番号を準備しておきました。発表の数日前に見てみたところ、合格者一覧から自分の番号を検索すること自体はできるようになっていたので、試しに検索してみましたが当然ながら番号は見つからない旨が表示されました。

なお、自分の受験票を見て手で写すと間違えるかもしれないと思ったので、試験の申し込みのときに使ったマイページから受験番号を見つけてコピーして使用したのですが、その受験番号の記載されている場所がすごく分かりづらかったです。まず、メインのメニューから「試験申し込み」を選択しなければいけません。さらにそのページから「試験会場案内」のボタンを押して表示される画面に受験番号があります。 普通こんなところに自分の受験番号があるとは思わないと思うので、これは改善を求めたいですね。

発表当日、9 時 30 分より少し前に私の番号を検索してみたら「合格者一覧にあります」と表示されました!

あとはハガキで正式な通知が来て免状の申請を行う必要がありますが、もうこの時点ですごくわくわくしながら「ぼくの かんがえた さいきょうの ラズパイ クラスタ」の構成を図面に起こしてみたり必要な部材を Web で探してみたりホームセンターをめぐってみたりし始めました。

免状の申請

試験に合格したら、いよいよ免状の申請です。免状を所持していないと電気工事を行ってはいけないので、さっそく電気工事をしたいというはやる気持ちを押さえて必要な書類を揃えます。

正確な情報は居住都道府県の免状窓口となる団体のホームページ等を参照していただきたいのですが、私の場合は以下のものを用意する必要がありました。

  • 電気工事士免状交付申請書
  • 格通知のハガキの原本
  • 住民票
  • 写真 (4cm x 3cm) x 2 枚
  • 都道府県の収入証紙(国の発行する収入 紙ではないので郵便局とかでは買えません。市町村の発行する収入証紙でもない)
  • 返信(免状送付)用封筒(切手なし)

郵送でも申請が可能ですが、たまたま居住している市に窓口となる団体の建物があり、しかも都道府県の収入証紙を購入できる場所が限られていて自宅から最も近い場所がその免状窓口だったので、直接赴いて申請しに行きました。

こういった外郭団体的な組織の事務所では引退間近のおっさんがめんどくさそう&上から目線で応対してそうな昭和なイメージを勝手に持っていましたが、実際に窓口に出向いてみると全くそんなことはなく、清潔感のある事務所で女性のスタッフ 3 名が働いており、とても丁寧に感じよく対応していただきました。

2 週間ほどで免状が届くとのことでしたので、それを楽しみに待ちながら「ぼくの かんがえた さいきょうの ラズパイ クラスタ」の設計をしたり部材の発注をしたりしていました。

免状が届いた!

申請を行ってからちょうど一週間後、書留で免状が届きました。窓口では 2 週間くらいと言われていたので、思っていたより早く届きました。 窓口の方は余裕を見て 2 週間とおっしゃっていたのでしょうね。

というわけで、これでいつでも電気工事を行うことができます。

いよいよ「ぼくの かんがえた さいきょうの ラズパイ クラスタ」の施工に入っていきたいと思います。

その 3 へつづく